「宍戸さん、」 「ん?」 「俺…宍戸さんが大好きです」 「はん…だから何だ?」 「いえ…別に…」 いつものようにそっけない彼と、いつものように大人しい俺。 会話は今のように少なく、しんとした空気ばかりが漂う。 俺は宍戸さんを見つめ、宍戸さんは雑誌を読む。 それが、いつもの俺達の日常。 ただ同じ空間にいることで満たされる俺。 宍戸さんが何も言わなくても、何もしなくても別にいい。 これでも幸せ。たまに俺の方を見て微笑む宍戸さんが一番好き(どんな宍戸さんも好きだけど) 「長太郎」 「はい?」 不意に名を呼ばれ間抜けな声を出してしまった… 「ぷっ…何変な声出してんだよ」 「すみません…ちょっとびっくりして」 「謝ることじゃねェだろ。本当可愛い奴」 「…(苦笑)で、何の御用でしょう??」 「あぁ…いや、何でもねェ」 「そうですか」 用が無いのに呼ばれても微笑んで、 宍戸さんも微笑み返してくれて、 不覚にも赤くなってしまって、 また宍戸さんが笑って、 俺に近付いて、 抱き締めて、 耳元で、 「俺も、大好きだぜ…」 何て低い声で囁かれて、真っ赤になる俺。 そしたらまた宍戸さんが笑って、口付けられた。 珍しく甘い時間。いつもならこんなことしないのに。 今日はきっとめちゃくちゃ機嫌がいい日なんだろうな、 と、考えてたら押し倒されて、されるがままになってしまって、後は記憶にない。 気がついたらもう夜。 俺は宍戸さんに抱き締められてた。 「…長太郎?」 「…はい…?」 「…悪かったな急に」 「いえ…俺宍戸さんが大好きだから何されてもいいんですよ」 「そうか」 「はい」 「…今日は泊まってけよ。もう御前の親に連絡したから」 「…!!喜んで!」 今夜は機嫌がいいからきっと、甘やかしてくれるんだろぉなぁ… 何て甘い幻想を抱いて、宍戸さんの胸に額を寄せた…… ぇんど。 宍鳳。微妙……! |
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