あまくて、ふわふわしてるひと。
ちょこっとビターで、俺を虜にさせたひと。


彼は、チョコレートケーキのようだ。







今年もまたクリスマスの季節。
街行く人々は忙しげで、何処と無く幸せそうな表情だ。
恋人達が楽しそうに話している。

ふと、一人が足を止め空を見上げた。



「…ふぅ…今年は何をプレゼントしよう…」



空はその呟きに答ずに、ただ悠然と広がっている。

溜息を漏らし、呟いた彼がまた歩き出した。



色々とショップを巡り、目に留まったのは―――ケーキ。
可愛らしいデコレーションで飾られた沢山のケーキが置いてあるウィンドウを眺める。
彼――鳳はチョコレートケーキを凝視した。
とても、大切なひとに似ているような気がしたから。



「…ケーキじゃ喜ばないかな…」



店内に躊躇いなく入る鳳。
そして入ってから後悔した。店内には女性ばかり。
周りの視線を痛い程感じた鳳は、頬を紅く染めた。



(入らなきゃ良かった…!!!////)



「いらっしゃいませぇvお決まりでしょうか?」
「へっ…?…あ、いえ、まだ、…//」
「お決まりになりましたらどうぞお申し付け下さいv」
「はぃ…//」



そんなにっこり言われたら、買わなきゃいけないような気がするのは気の所為だろうか?
鳳は迷う。クリスマスまでまだ少しある。今日はまだ買えない。



(…どうしよう…。………視線が痛いなぁ…・泣)



少々して、



「あの、」
「はいv」
「…クリスマス用に予約、お願い出来ますか?」
「勿論ですvどれになさいます?」
「えっと…ザッハトルテを(他には買わないぞ…美味しそうだけど!)」
「かしこまりましたv他にご注文は?」
「…(Σえっ…?!どうしよう…どれも美味しそうなんだよな…じゃなくて!買わないハズだろ俺!!…………でも…一個くらいいいよな…?)…じゃぁ…ショコラを」(誘惑に負けた・笑)
「以上で宜しいでしょうか?」
「はい」
「ではこちらの注文書にお名前を……」



少しして、ショップから鳳が出てきた。手には誘惑に負けた証の小さな可愛い箱が(笑)
足取り軽やかに帰宅。















「宍戸さーん、ただいま戻りましたー!」
「…おう…(眠)」
「あれ、今起きたんですか?」
「…まぁな…」



玄関に来た彼、宍戸と一緒にリビングに行きソファに座る。
宍戸はまだ眠たそうだ。



「……お、ケーキ買ってきたのか?」
「あ、はい。ちょっとお店に寄ったら店員さんに買ってvオーラ出されて…」
「(買ってvオーラ?)…ふーん」
「宍戸さんも食べますか?」
「…一口」
「じゃぁ食べ」
「食べさせてやるとか言うなよ?」
「ぅ…いいじゃないですか」
「嫌だ。断る。前にそれ許したら口移しだったじゃねェか」
「…今日はちゃんとフォークで食べさせますよ?」
「自分で食う」
「そんな遠慮しないで下さいよー」
「遠慮してねー」
「…もう」



拗ねたようにフォークを渡す鳳。
そのフォークを受け取り、ケーキを一口食べる宍戸。



「…ん、結構美味いな」
「そうなんですか?俺まだ此処のケーキ食べたことなくて…」
「……毒見?」
「Σえ?!違いますよ?宍戸さんが先に食べたいって言ったから…」
「わーってるよ(笑)」
「…からかったんですかぁ…」
「さぁな。ほらよ」



宍戸はケーキを掬ったフォークを差し出した。
子供をあやすかのような表情で、微笑みながら。



「ししどさん…?」
「食わないのか?なら俺が食うぞー」
「やっ、食べます食べます食べさせて下さい宍戸さん…!!!!」
「おー」(鳳に食べさせる)
「ん…vあ、美味しいッスね」
「………」
「…何見てんですか??」
「いや…別に?」
「?」
「あ、バイト行ってくるわ」
「もうそんな時間ですか…行ってらっしゃい、宍戸さん」
「おう」















バイトも終わり、彼は帰路に着く。
シンと静まり返った道。
彼は夜空を見上げ呟やいた。



「はァ…プレゼントどうすっかなー…」



夜空はその呟きに答ずに、ただ悠然と広がっている。
星達もただ、彼を見下ろす。


溜息を漏らし、ゆっくりと歩き始める。
愛しい人が待っている家へと。



「やっぱシルバーアクセか…あんま高価なモン買えねェし…生活費がな…」



ブツブツぼやきながらマフラーで顔半分を覆った。
もうすぐ家だ。彼――宍戸は再び溜息を漏らした。



(長太郎に訊けねェし…何が欲しいか訊いたら「俺は宍戸さんがいるだけで十分です」って言うからな…誕生日ン時そうだった)



色々考えているうちに宍戸は家に着いた。
そして溜息をつき、家に入った。



「ただいま…」
「あっ!おかえりなさい〜宍戸さーんっv」
「…おう」
「…あれ?元気ないですね?バイトで何かありました?それとも疲れているんですか??」
「あー何でもねェよ。それより腹減った。何かあるか?」
「Σあの」
「何だよ」
「…すみませんまた失敗しました…」
「…またかよ…精進しねェなぁ…」
「すみません…俺本当料理ダメッスね…本見ながらやってたのに何処でどう間違えたのか…」
「…はァ…俺が作る」



すたすたとキッチンへ行き、準備を始める宍戸。
キッチンは綺麗に片付いていた。



「…長太郎」
「はぃ…」
「御前途中で作るの諦めたろ」
「Σ何でわかるんですか?!」
「綺麗になってっから。最後までやったときめちゃくちゃだったじゃん」
「………すみません……」
「もーいちいち謝るな。…課題とかやってろよ」
「…終わりましたもん」
「じゃぁ…部屋の掃除」
「了解したッス」



宍戸は鳳が部屋に行くのを確認し、冷蔵庫の中身を見た。
見事に材料が減っている。



(……だから食費かかるんだよな…まァいいけどよ)


冷蔵庫から炒飯の材料を取り出し、作り始める。
何気に上手で、美味な宍戸の料理。鳳はいつも幸せそうに食す。
そんな恋人を見るのも一つの楽しみな宍戸であった(笑)



「よし。盛り付けも完了。ちょーたろー飯出来たぜー」
「はいっ!v」(さっと部屋から出てくる)
「(犬…)ほらよ、」
「わぁvやっぱり宍戸さん凄いです!」
「…褒めても何も出ねェぞ」



目を輝かせる鳳を席につかせ、宍戸も席につく。
そして手を合わせて「いただきます」。



「んーv宍戸さんの料理は何でも最高ッスねv」
「そうか?」
「はい!俺も見習わなきゃ…」
「(可愛い…)別にいー。俺が飯担当で、御前が部屋の片付けとかやってくれれば」
「…はいv俺幸せだなー宍戸さんの手料理食べられるなんて」
「アホ」
「ひどっ!本当ですからねーv」
「…言ってろ」


















そうして他愛ない一日が過ぎてゆく。
クリスマスまで後少し……





























それから数日、あっという間にクリスマス当日。
二人は内心焦っていたが、表には出さずに普通に過ごしていた。



「ねぇ、宍戸さん」
「あ?」
「今夜二人っきりでパーティー開きましょうね」
「…ん」
「じゃ、俺ちょっと行ってきます」
「おー早目に帰って来いよ」
「勿論ですvv」



鳳は街へ出掛けた。
宍戸へのプレゼントを買う為と、予約したケーキを取りに行く為に。



(宍戸さんにプレゼント…まだ決まってないんだよなぁ…どうしよ?…――あ、あのアクセカッコイイ…宍戸さんてシルバーアクセ似合うからなー…Σって、ペア?!…これにしよう!これなら、ね、きっと喜んでくれる!!ハズ!!)






其の頃宍戸は……






「っあー…早く届かねェかな…兄貴からのプレゼントとー…長太郎のプレゼント…」



ピンポーン……



「お、早速」
























そして、待ちに待った聖なる夜……鳳は急いで家に入りました。


「宍戸さんっ!ただいま戻りました!」



しん……



部屋は暗く、何も音がしない。



「宍戸さん……?」
「…長太郎、おかえり」
「Σわっ!!宍戸さん?!」
「待ってたぜぇ?帰ってくんの」
「すみません、ちょっと遅くなりました…」
「いーって。部屋入れ」
「…?」



催促され、部屋に入った鳳は言葉を失った。



「わ…」
「たまにはこういうのもいいだろ?」
「…宍戸さんがコレ全部?」
「俺以外に誰がいる」
「!! 素敵ですーvvv宍戸さん!」
「おわっ!抱きつくなっ!!」



様々な場所に蝋燭が置かれ、ゆらゆらと部屋を照らしている。
ランダムに置かれた蝋燭の火で、幻想的な雰囲気を醸し出している。



「嬉しいです〜宍戸さんがこんな風にしてくれただなんてvv」
「…そっか(微笑)」
「あ、ケーキ買ってきた(というか予約してた)んで、パーティーやりますか?」
「そうだな」






ケーキも料理もワインも、皆準備して。

鳳と宍戸は席についた。

蝋燭の火でお互いの顔が見え隠れする。

それがとても心地よい。






「それじゃ、乾杯しましょうか?」
「おう」






『Merry Christmas!!』






二人で言い、静にグラスを当てた。



「…ワイングラス買えば良かったな。普通のグラスじゃあんま味出ねぇ」
「え、これでも十分美味しいですよ?」
「そうだけどよ…」
「…それにしてもよくワインなんか買えましたね?」
「兄貴が送ってくれたんだよ。俺からのプレゼントだーって」
「へぇ。後で御礼言わないと…あ、そだ。宍戸さんにプレゼントです(さりげなく)」
「…サンキュ。じゃ、俺からも」



二人はプレゼントを交換しあった。
そして綺麗に飾られた箱を開ける…



「「……ネックレス……?!」」

「…宍戸さん…!」
「…長太郎…」
「俺達、同じこと考えてました!?」
「そうみたいだな…」
「相思相愛…!!v形違いますけど同じネックレス…嬉しいッス!」
「…俺も嬉しいぜ(ぼそ)」
「わぁわぁv凄い偶然ッスねvv」
「そーだな(面白い…(微笑)」
「あ、そのネックレス、ペアなんですよv」
「…ふーん(目逸らし)」
「Σ! ちゃんとつけて下さいね?」
「…ぉぅ」
「あ、でも宍戸さんのもつけたいし…ペアのもいいし…」
「…どうせならペアにしろよ」
「…宍戸さんからのもつけたいです」
「それは持ち歩くとか」
「……成程!」
「(御馬鹿…)さー早く飯食おうぜー。冷める」
「はいv…宍戸さん、大好きです」
「……俺も好きだぜ長太郎」









たまにグサッと刺さることを言うけれど、こんなに優しいから大好き。
彼は、チョコレートケーキのよう。
買ってきたケーキは宍戸さんのような甘く、ほろ苦い味がした――
















Happy Happy Christmas




















聖なる夜に

家族に

恋人達に

全ての者へ、





幸せを。








Merry Christmas!!

















End★











無駄長っ(笑)
書いてるときはめっちゃ楽しかったです。
長太郎=何でも出来そうだけど料理ダメ、というイメージが最初からあったので書けて嬉しいーvv
宍戸=不器用そうだけど意外に料理やっちゃうというイメージが(笑)
一応CP無視な鳳と宍戸で書いたのですが…どうでしょう?
ちゃんとCPで書けーという方はメールで文句をどぞ(笑)

一応クリスマスフリー小説です。
「End★」から上を持ち帰って下さいませ。(持ち帰る方いないでしょうけど・笑)
HPにUPする場合、管理人「久保田 來」の名と、「Night」のURLを貼って下さい。
出来れば持ち帰ったよーという報告をお願い致します。
文章を勝手に変えたりしないで下さいね…
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